プレーニングとは、ボードの速度が上がり、ボードが滑走状態に入ると、ボードの摩擦が極端にへり、水面を滑るように走ること。

 プレーニングの原理は、セイルに風を受けて速度が上がると、ボードが浮き上がってきます。ボードが浮き上がると、ボードの接水面積が小さくなることで、水の抵抗が少なくなりスピードが上がり、ボードが水面を滑走する。

 プレーニングの速度は、時速20キロ以上、道具にもよりますが、風速は毎秒5m以上が必要です。

 水面が近いので、体感速度は2倍以上で、時速40キロ以上となると、かなりのスピード感、爽快感を感じることができます。

 



  プレーニングの入り方1

 ブローが入ったら、ベアさせ、セイルに風を入れると速度が上がり、ボードが浮き上がってきたら、体をテール寄りにずらし、ストラップに足を入れる。

このとき進行風が強くなって、見かけの風は前方からとなってきますので、セイルを十分に引き込み、見かけの風に合わせます。

 この状態から、クローズリーチまでラフさせ、安定した走りを継続させます。

 ベアさせる方法は、ブローが入ったとき(強すぎる風ではベアさせなくともプレーニングに入る)一度風を逃がし、マストを風上に倒しジョイントを押す感じで風をつかむとベアして加速しプレーニング状態に入る。



 

 プレーニングの入り方2

 ブローが入ったら、重心を下げ、ブームにぶら下がる感じで、ボードにかかっている体重をできるだけ少なくする(7から8割減)とスピードが上がり、ボードが浮き上がる。

 この状態で、更にセイルにパワーが入れば重心を後方に移せるので、前足が浮き、ストラップに前足が入る。ここから、もう一度重心を下げ、後ろ足をストラップに入れ、プレーニングの走り方の体制をとる。



 プレーニングの走り方 

 一般的に、マストを立てて、セイルを引き込めといわれています。

  では、なぜマストを立てるのか、セイルを引き込むのか、(自分なりの解釈)

 1マストを立てる

  マストの傾きでセイルに入る風の量が減ってくるので、できるだけ風をつかむためにマストを立てたほうが良い。

 ただ、CLRは後ろストラップの前まで後退するので、CEを合わせるためにセイルはアフターレーキ(後傾)します。

 また、ラフ・ベアの調整のためマストは若干カイト(風上側へ倒す)させます。

 もし、無理にマストを立てるとセイルパワーは増大し、バランスが取れなくなり、前に飛ばされてしまうでしょう。このバランスを考えたうえで、できるだけマストを立てると考えれば良いのではないでしょうか。

2セイルを引き込む

 プレーニングに入り、スピードが上がることにより、進行風が強くなり、真の風に対し見かけの風は前方から受けることになり、見かけの風に対しセイルは自然と引き込むことになります。

 引き込みが弱いと、セイルから風を逃がした状態となり、スピードは上がっていきません。

 引き込みが強すぎると、側面抵抗が大きくなり、減速してしまいます。スピードの上昇に合わせてセイルの引きこみを強めていけば、より早く走ることができるのではないでしょうか。


 プレーニングフォーム

  プレーニングしているときの体の位置はボード上ではなく、完全に海の上にあります。

 体重のほとんど(78割)はハーネスからブームに伝わり、ブームからマスト、ジョイントをかえしボードを下に押し付けています。

 足にかかる力はボードを横方向に押し、フィンとボードが海面にグリップすることで受け止めています。

 スピードが上がると、ボードは浮き上がり、ボードの後方のみが接水することになります。このときノーズが上がりすぎるとブレーキがかかってしまうので、マストでボードを押えつける動作(マスト荷重)が必要になります。

 ブームにぶら下がり、十分に体重をかけていれば押さえることができます。

 高速になると、ボードの側面抵抗の中心(CLR)は後方にずれ後ろストラップの前くらいになるので、体の位置も後方となります。セイルパワーの中心(CE)とハーネスラインからブームにかかる力の中心を合わせることでボードはまっすぐに走ることとなります。

 風の強弱、波の抵抗でスピードが変化すると、CLRは前後に移るため、体の位置とCECLRに合わせて調整することが必要となります。

 究極の走り方となると、ボードの接水面が極端に少なくなり、フィンのみで走る感じとなります。

 CLRはフィンの真上になり、CEと体の位置もフィンの真上に近付くことになり、セイルは後方に倒れた状態(アフターレーキ)となります。



初めてのプレーニング
前提条件 セイルトリムについて
  プレーニングできる前提条件として、ボードに乗りながらセイルを開いたり閉じたりするセイルトリムから、ハーネス加重でボードの 

 上から体重を抜いていくセイルトリムに変えないといけません。
  ボードの上に乗ったセイルトリムでは、ブローが入ってセイルに受ける風が強くなると、セイルは重くなるため、風を逃がしてやるこ  

 とによりボードの上に立ち続ける事ができますが、セイルを開いて風を逃がしていては加速しませんのでプレーニングはできません。

  ブローが入って風が強くなったら、マスト手の肘を曲げてマストを風上・後方に倒しながら身体をテイル方向に移動してバランスを取 

 り、セイルが開かないようにセイル手を引きつけ、ブームを下に押すように、ぶら下がることで、ボード上から体重が抜けてスピードが 

 上がります。

 このセイルの力は、腕の力で引くことが困難なため、ハーネスを使って身体で引くことで引き込めるようになります。

 ハーネスを掛けた状態で、後ろ足を前ストラップの後ろまで下げた位置で普通にアビームを走れるようになるまでハーネスワーク

が身についていればプレーニングの練習に入ることができます。

風が強くなってセイルにかかる力が強くなってきたら、マストを風上側へ倒し、セイルにぶら下がった状態にしてセイルとのバランス 

を取ると、ボードから体重が抜け、スピードが上がります。スピードが上がると、ボードは水にはじかれ、前方が浮き上がり、後方の

部分のみが接水するようになります。これがプレーニング状態で、風の速さを超えて走ります。

準備運動 前足を上げて走る

   前足を少し浮かせて後ろ足だけでアビームを走ってみましょう。これはジョイント加重の練習です。
   前足を浮かせて普通に走っていると後ろ足加重になりますので、ラフして失速してしまいますが、そこをマスト手でジョイントを風下 

  側へ押し付けるようにしてベアさせバランスをとります。プレーニングしている状態では前足と後ろ足の他に、マストが3本目の足と 

  して松葉杖のような役割を果たしており、特にベアするときにマストのジョイント加重を多用します。
前足をストラップに入れる
  アビームで走りながら前足をストラップに入れますが、この時に上記の練習の時のように前足から体重を抜いたまま、そっと前足を 

 入れるのがコツです。
 イメージとしては松葉杖をついている時のように、杖(マスト)と後ろ足でバランスを取りながら、ジョイント加重を強めてラフさせないよ

 うにそっと前足を入れます。
ベアして加速
  前足がストラップに入っても慌ててはいけません。前足がストラップに入ってから慌てて後ろ足をストラップに入れると、後ろ足加重

 になってラフして失速します。
  前足が静かにストラップに入ったら今度は後ろ足の体重を抜いてストラップに入った前足に重心を移します。ジョイント加重も緩めな

 いようにします。
  セイル手を引きつけ風の力でボードの上に起き上がるようにします。そうするとベアして加速してプレーニング状態になります。
  プレーニング状態に入ってからそっと後ろ足をストラップに入れます。そうすると更に踏ん張りが利くようになりますのでまた加速し

 て完プレの状態になります。
  あとは異次元のスピード感をお楽しみください。

 

プレーニングの方法

 手順

 ①ブローを見る。

  海面のさざなみの濃さを見て、プレーニング可能な風かどうかを見極める。

  (経験によるが、濃いさざ波の中に風の筋が入ってくるか、白波が混ざる。)

 ②ベアさせる。

   ブローが入ると、セイルが風を受け、前方に持って行かれるので、それに抗してマストを風上・後方に倒し、合わせて身体も後方 

  に下げ、ブームにぶら下がる。十分に強いブローであればそのままプレーニングに入れるが、もっと早くプレーニングをし、スピード

  を上げようと思うならば、セイルに風を受けた時にベアさせることで、楽にプレーニング状態に入ることができる。

 ③前足をストラップへ

   ベアさせると、セイルに更に風が入るので、体は更に後方へ移動、その時、前足から体重が抜けるので、そのタイミングで前足を

  ストラップに入れる。

 ④ハーネスを掛ける

   ハーネスを掛けるタイミングは、最初から掛けていても、ベアさせるときに掛けても、前足をストラップに入れてから掛けても、やり

  やすい方法でいいと思います。ちなみに私は、常にハーネスは掛けたまま乗っています。

 ⑤後ろ足をストラップへ

   走り始めたら、前足に重心を掛け、後ろ足をストラップに入れる。

 ⑥体勢を整える

   ベアさせた状態からスピードに合わせて、セイルを引き込んで行き、体勢を整え、アビームからクローズへ方向を変えてゆく。

 

   スピードを出そうと思うなら、ベアさせた状態から、更にベアさせ、セイルは十分に引き込む。(セイルのフットがボードの上に乗り、

   セイルとボードとの隙間をなくすように)


プレーニングの姿勢

 プレーニングの形(体勢・姿勢)を、初級、中級、上級の3段階に分けてみます。

 

第1段階 : ブームにぶら下がるようにしてボードから体重を抜く

                  (体重はボードに3割、ブームに7割)、

      セイルに受けた風の力は、セイルを下に押さえつけることで、風が流れ

      、スピードが上がり、プレーニング状態になる。

      形としては、しがみついた乗り方。(プレーニングに入るときにはこの形)

 

第2段階 : ハーネスと腕で、セイルを引き込み、身体はボードの外側に出して  

       バランスを取る。ブームを引き寄せるために腕の力を使い、腕は少し  

       曲がってしまう。身体がボードの外側にあるため後ろ足でボードを蹴る

       とスピンアウトする。形としては引き込む乗り方。

       (加速させるときにはこの形)

 

第3段階 : セイルの力はハーネスで支え、身体は水面と平行になるくらい倒し、

       マスト手でボードの方向を、セイル手でセイルの調整(ドアを閉じ、風

       の力をすべて使うように、フットをボードの上に載せる)両腕は伸び、

       マスト手はブームを押し、セイル手はブームを押さえつける。

       (後の膝は少し曲がっているので、押さえつけているセイル手は後膝

       に近づく)

        身体はハーネスにあずけ後ろ足はフィンの揚力を押さえる程度に横

       方向に押す。

        形としては仰向け乗り。

        (水面と身体が平行になるつもりで、実際には45度も傾ければ仰向

        け状態と感じる)